砂の器と言えば、1960年に発表された松本清張さん原作の小説であり、これまでも映画化されたり何度かドラマ化もされてきたんだけど、どうも納得がいかないものが多く…
結局、最終的にドラマ版が観たくて観たくてどうしようも無くなってしまったエヂです⎛´・ω・`⎞
丹波哲郎さん、加藤剛さん、森田健作さんらのキャストで作られた1974年の映画版の方は、映像的には原作の雰囲気が出てて凄く良いんだけど、いかんせん古さを感じるのと、何と言っても2時間という時間の中であの物語を描き切る事などそもそも不可能であり、お話が大幅に端折られた結果、原作を知っている人しか楽しめ無い作品になってしまったのが非常に残念…_(┐「ε:)_
ドラマ版はビデオ屋さんにある
そんな映画版「砂の器」にどうしても納得がいかなくて、サブスクでドラマ版「砂の器」を探し回ったんだけど、現状サブスクでの視聴は不可能であり、それならもうレンタルビデオ屋さんに行ったらええやん!ってなったのは先日の話…
映画好きが最後に行きついたのはサブスクじゃなくてレンタルビデオ屋だった…という嘘みたいな本当の話もまた面白いよなぁ…と思いつつ…ようやくドラマ版「砂の器」をレンタルして来たワケです
因みにドラマ版は2004年にTBS系の日曜劇場枠で制作されており、全11話となっております
全部で5枚のDVDが発売されていて、今のレンタルビデオ屋さんではもう誰もマークしていない作品なので大人借りして一気に視聴しました
同時に、2000年代初期の頃のドラマとか、1980年代90年代くらいの今はもうサブスクでは観る事も叶わないB級作品なんかも生存確認…今、実はレンタルビデオ屋が熱いッ!!
えー、中居君か…でも、ちょっと待って
アタシは今も昔も、あんまり日本のドラマという娯楽を楽しみにしてきたタイプの人では無いので、中居正広という人物が主役の和賀英良役で一体、どんな演技をするのか…という事について予備知識とか全く無かったんだけど、想像するに「アイドル」でしょう?というのがまずあったというのもあって、正直全く期待してなかったんだ…
蓋を開けてみると、そこはやっぱり懸念していた感じは多少あったんだけど、回を追う毎にいい感じに見えてきた…というのが正直な感想であり、最終的には「悪く無い」やん…って思えるまでに至った
中居君があかんかったな…と思った時に「じゃぁ、誰だったらこの作品に相応しかったの?」って問うた時、自分の中に特に答えは無く…中居君で悪かった理由も特に無かった…というのが実際のところ
中居君以外のキャストとしては、今西警部補役に渡辺謙さん、その片腕の吉村巡査約に永井大さん、評論家の関川役に武田真治さん、三木謙一役に赤井秀和さん、田所重喜役に夏八木勲さん、本浦千代吉役に原田芳雄さん、そして原作には登場しないキャラクター、成瀬あさみ役に松雪泰子さんという面々…
ベテラン俳優渡辺謙さんや、戦国自衛隊の長尾景虎役が懐かしい夏八木勲さんや、不毛地帯の大門一三社長の熱演が懐かしい原田芳雄さんらの演技はもう言わずもがな…
一部で残念だったのは、映画版の森田健作さんと同じく行き過ぎた熱演がこちらを冷めさせてしまう永井大さんや、そもそも演者では無い人を巻き込んだ人選ミスでしかない赤井秀和さんはまぁまぁキツイ…
そんな中にあって、中居君は比較的普通に見えたりして、ある意味絶妙なバランスの取り方なのかもしれない
原作とは違うが…
ドラマ版は原作と違うところが散見されるんだけど、何と言っても11話という長い尺があるので、物語に没頭できるし、和賀英良の苦悩みたいなのも充分に理解出来るのは映画版には無い事だと思う
原作との大きな違いとしては原作には存在しないキャラクター成瀬あさみ(松雪泰子さん)の存在があり、これは無理やりにでもヒロインを用意しようとしたかった…という点と、和賀英良という人間の内面を引き出すために有効だった…という点で概ね成功していると思う
ドラマ版「砂の器」の主人公は和賀英良であり、全て彼の視点で描かれるんだけど、元々そんなに饒舌なキャラでも無く、寡黙で内に秘めるタイプの主人公が暗い過去を持っている…というストーリーを語る時…やっぱりペラペラ語らせるのは無粋であり、そういう意味でストーリーテラー的な役割として機能していたと思う
途中、あの成瀬あさみという人間は和賀英良の心を投影した第二の和賀なのでは…?って思い始めたりもしたんだけど、ちゃんと存在しているキャラクターでしたね
ドラマを語る上で大きな大きな役割を果たしているのが千住明さんのピアノ協奏曲「宿命」であり、作品全編を通してベースにこの音楽が流れる事でドラマ版を砂の器たるものにしていると言える
後、元々ライ病患者である事が原因で、言われない差別を受けて放浪の旅に出る事になった本浦親子の素性が変更され、村八分が原因で奥さんが病気を悪化させ急死した事から怒りを爆発させ、村人を焼き払い、26人殺しの千代吉として追われる…いう設定になっているんだけど、これはもうライ病という病気が脅威では無くなった現代において、変更した方が解りやすいから…って事なんでしょう
社会派サスペンスを感動大作にしてしまった事は賛否あると思うんだけど、個人的には悪く無いと思える
映画版では病弱で弱かった本浦千代吉が、ドラマ版ではかなり強そうだったりして、原作では病死するんだけど、ドラマ版では生きて秀雄と再会出来たりするのも大きな違い…
意図的に感動作に持って行ったな…って感じはするけど、悪い感じはしないし、ドラマを成功させるために制作陣の皆さんが考えに考えた結果なんだろうな…( ˘ω˘
個人的には映画版よりもドラマ版の砂の器をおススメします
ようやく全部観る事が出来てスッキリしたかも…( ˘ω˘