映画

Don’t Worry Darling 【もしもあなたの世界が仮想現実だったら…】

先日、家にあるOculus Quest2を久しぶりに起動してみたら既に壊れてしまっており、全く2016年のVR元年とはなんだったんだろう…と思うエヂです⎛´・ω・`⎞

まだまだ始まらないVRの世界

まぁ、Oculusの不幸はパートナーがFacebookというオッさんの社交場とVRをくっつけようとしたりして、噛み合わなかった事も一因だと思うんだけど、一方でSONYの PlayStationVR2も盛大にやらかしていたりして、目指す方向性が違ったのか、いきなりVRに行くには人類がついていけないのか…

来年発売される予定のApple Vision Proは「空間コンピューティング」という世界を構築しようとしているらしく、現実世界とヴァーチャルの境目を曖昧にしようとするこの試みが新たなVRへの導入部になるのか…興味あるなぁ…

で、前置きが長くなりましたが、先日Netflixで観た「Don’t Worry Darling 」がエモ面白かったので紹介させて下さい(盛大にネタバレありです)

あらすじ

時は1950年代の何時か…

主人公アリス・チェンバース(フローレンス・ピュー)は愛する夫ジャック(ハリー・スタイルズ)とカリフォルニア州の「オアシス」と呼ばれる美しい街に暮らす専業主婦

オアシスはその名の通り、砂漠の真ん中にオアシスのように孤立した美しい街であり、この町は「ビクトリー計画」という研究を行うビクトリー社の所有地であり、ジャックはその社員

ビクトリー社の社員達は高級住宅や高級車を与えられ、妻たちは美しい服を着て家事を完璧にこなしながら優雅に暮らしていた

ようこそ、ユートピアへ!

オアシスには幾つかルールがあり、それは例えば「妻は専業主婦で町から出てはいけない」、「パーティーには夫婦揃って出席する」、「夫の職場には決して行かない」、「仕事内容を詮索しない」…等があったが、約束された特別な環境を維持するには気にならないものであり、ここではそれが習慣であり、2人は幸せに暮らしていた

そんなある日、出席したパーティーで彼女は隣人のマーガレットが突然、「ここに居てはダメ!」と叫ぶ姿を目にする

やがてアリスの周りで不思議な出来事が起こるようになり、ある日アリスは屋根に登ったマーガレットが自ら喉を切り裂き、飛び降り自殺するのを目撃してしまう

やがて、アリスは次第に精神が不安定になり、自身が住む世界に疑問を抱くようになる…

思い出すのはマトリックス

映画は2022年公開11月公開…と凄く新しい映画…通りで映像とか音楽とか今っぽいな…と思った

ストーリー半ばまでは話が見えて来ないんだけど、解り出すとこの映画が実は凄くエモい映画である事に気付く…

そう…この映画はあの懐かしのマトリックスなのだ

ぁぁ…何か既視感を感じると思ったら…

マトリックスの世界では主人公ネオは「そもそも現実では無い世界」で類稀なる精神力からスーパーパワーを発現するが、「Don’t Worry Darling 」にはそんなものは無く、現実の延長線でしか無いんだけど、「現実と同じ」って事が逆にリアルに感じさせるんだ

オアシスに住んでいる住人は全員表向きは仲が良さそうに見えるんだけど、実は旦那同士は知らない者同士であり、たまたま同じビクトリー社のビクトリー計画に賛同してこの仮想現実の街に居るに過ぎない

理想のカップル達の理想の生活

妻達は何も知らないまま…実は現実世界では寝たきりであり、仮想現実の中で良い妻として暮らしているんだけど、実はここにはマトリックスのサイファーのようにもはや仮想現実の世界の方に利を感じて、仮想世界である事を知りながら暮らす事情を知る妻も居たりする

まぁ、「同意して2人でビクトリー社のビクトリー計画に乗った」という事なんだろう

でも、考えたらこっちが主であり…普通だと思うんだけど、どうも映画の中では「全く事情を知らないまま仮想世界に連れてこられた妻達」が主になっており、「じゃ、最初どうやって仮想現実の世界に引っ張り込んだんだよw」という…実はビクトリー社が犯罪に加担するようなグレーな企業である事が分かるし、根底には「男性支配の世の中への風刺」があるのかもしれない

夫達は「古き良い夫」を演じながら毎朝職場(本部)に向かい、現実世界に戻って接続のメンテナンスや報告を行なっている…という事なのかな?

この映画の見どころ

もう1つこの映画で興味を持ったのが監督であるオリヴィア・ワイルドさん

女性監督なんだけど、同時に俳優さんでもあり「トロン:レガシー」とかにも出演したりしている一方で、2019年に「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で映画監督としてもデビューを果たした…という経歴があり、恐らくは今作が2作目に当たるみたい

男性目線で見ると、女性監督、女性脚本(脚本はケイティ・シルバーマン)であった事に「あぁ…なるほど…」と思う部分があったのは事実

ステレオタイプな一家の大黒柱であり、スーツを着て仕事に行き、全てを決める男性と、それに従いついて行く女性…という風刺世界を、仮想現実を使って上手く描けるのは監督と脚本が女性だからなんだろうな…と妙に納得してしまった( ˘ω˘

前半は女性陣が「男から見て理想的な女性像」…つまり、スカートやワンピースを着て、比較的露出の高かったりする感じで、働く夫の癒し…みたいに描かれてるんだけど、自我を取り戻した後半パートになるとシルバーのコルベットを駆り、カーチェイスを演じて男が乗る車3台を破壊する…という前後半の女性の行動の対比も面白い

後半はアリスが大暴れする

そして、何より面白いなぁ…と思うのが、ビクトリー社のトップであるフランク(クリス・パイン)が妻達の暴動を抑えられなくなった時に妻であるシェリー(ジェンマ・チャン)が出てきて「ここからは私がやるわ…」と黒幕としての姿を現した事であり、実は男性であるフランクが牛耳っていたつもりのビクトリー社はその妻であり、女性であるシェリーの手の中にあった…という事…

凄く面白いスリラー映画なんだけど、考えれば考える程に男ってそんなもんなん…って思ってしまって…

何か…悲哀を感じるんだけど…(´;ω;`)ウッ…

人気ブログランキング
人気ブログランキング

-映画
-