最近になって、昔読んだ手塚治虫先生の火の鳥がまるで予言の書のように今の世の中を表しているな…と感じる事がたま〜にあるエヂです。( ˘ω˘
私が子供頃、我が家は変なところで厳しくて特に漫画についての母の検閲が厳しく…。ドラえもんは欲しい時に買って貰えたが、北斗の拳は絶対ダメ!とか、変な審査基準があった。
そのため、家で読む事が許される漫画が少なかった(テレビは検閲が無かったので北斗の拳はリアルタイムで見ていた)のだが、手塚治虫先生の漫画もこの厳しい検閲を通過した数少ない作品だった。
私は『火の鳥』と呼ばれる漫画を買って貰った。
この題名に惹かれた。今思い返せばそれだけの購入理由だったんです。
でも、今と違って昔はインターネットも無いし、グーグル先生だってツイッターだってまだ生まれていないワケで、本屋さんに行って宝探しするようなもんです。
本当、面白そうな漫画を求めて物色しました。
確か初めて買ってもらった乱世編だったが、今思えばこれを最初に手に取ったのは、たまたまだった…のである。
火の鳥 7(乱世編 上) / 手塚治虫 テヅカオサム 【コミック】 価格:1,430円 |
永遠の命と輪廻転生の概念
乱世編は平安時代の話…。源平合戦の最中の話で、登場人物は平清盛や、源義経や頼朝等、歴史上の人物。
因みに私は火の鳥乱世編で平安時代と奈良時代の歴史を学んだ。
だから平安時代だけ成績が良かった。いっその事江戸時代も明治時代も全部火の鳥があればいいのに…と思ったくらいスーッ…と頭に入ってきたものである。( ˘ω˘(まぁ、今と違って暇なので、何度も何度も同じ作品を読んでいた…ってのもあります。)
乱世編では牛若丸が義経になる過程も描かれているし、兄貴は頼朝。木曾義仲とかも出てきます。
前に嫁と鞍馬寺に行った時には胸が踊ったもんです。(鞍馬寺は若かりし頃の源義経が修行したと言われている場所です。)
そしてこの漫画に出てくる、火の鳥とは永遠の命の象徴であり神のようなものですが、実体があり人の目にも見える…という設定。
そのあまりに神々しい様に、火の鳥の生き血を飲んだ者は永遠の命を得る事が出来る…という噂が広まり、平家の長である平清盛は自分亡き後の平家の衰退を憂い、永遠の命を求めてこの火の鳥を捕らえようとする…。
同時並行で源平合戦が進行して行く中で義経、武蔵坊弁慶…そしてその弁慶の許嫁、おぶうの、それぞれの運命が動き出す…という内容。
この乱世編(上下巻)だけでも十分に面白いのですが、例えば未来編とかになると時間軸が変わるのですが、実は登場人物は過去に出てきた人物の生まれ変わり…つまりベースに輪廻転生があったりするんです。
ここに興味を持った。
そして火の鳥は人類が生まれて文明を築いては戦争で滅び…また生まれては滅び…と繰り返す様子を人間達の近くでずっと見ているんです。
前世で罪深い行いをしたものは来世でもやっぱり…。全然違う人格だったりしますが、どこかに繋がりがある…。
そしてこれは鳳凰編、乱世編ではありませんが、実は作中一番重い罰が火の鳥の生き血を与えられて死ねない身体にされてしまう事だったりします。
長い地球の歴史の中で人類は何度も文明を作っては滅びますが、一度人間に代わってナメクジが文明を作って繁栄したエピソードがありました。
そのナメクジも最後は滅ぶのですが、地球最後のナメクジが放つ台詞が、『なぜ、我々の先祖はかしこくなろうと思ったのでしょうな…。もとの下等動物のままでいれば、もっと楽に生きられ…死ねた…ろうに…。』だったのは子供の頃読んだ時よりも今の方が何か考えさせられます。
絵が綺麗なアニメ版は漫画版と少しセリフが違う
鳳凰編のアニメ版で大和の茜丸が死ぬ時に火の鳥が言います。
火の鳥『お前は小さな魚に生まれ変わり、海へ戻るのです。』
茜丸『魚…!?いやだッ!!私はッ…人間に生まれたい!生きて再び!』
火の鳥『ダメです。お前の運命は全て決まっているのです。さぁ、おいで…茜丸。』
茜丸『あなたは…、一体…。』
漫画版の方では火の鳥はもっと辛辣なセリフを茜丸に言い放ちます。
火の鳥『おまえにはもう永久に…この世がなくなるまで、人間に生まれ変わるチャンスは無いの!』
茜丸『そんな!そんなバカな!いやだ、また人間にしてくれっ、俺は人間に生まれたいーッ』
火の鳥『だめです。もうおまえの運命はぜんぶきまっています』
この茜丸は、最初は綺麗な心を持ったいい人間でしたが、我王との出会いや権力を持った事をきっかけに段々と人格が歪むんです。
そういえば茜丸はその後、未来でも過去でも出て来ない気がする…。もう彼は人に生まれ変わる事は無かった…という事なのかもしれません。(因みに前世は小鳥だったようですが人として生まれるより幸せだったようです。)
逆に我王はこの乱世編では歪んだ人学で出てきますが、我王に助けて貰った天道虫が人間に化けた女、速魚を殺めてしまった事によって、そして即神仏になった良弁僧正との出会いによって、物事の真髄を見てしまいます。
この我王ってキャラは特殊で、【鳳凰編】のみならず、全編に渡って人間として登場します。
元々は猿田という我王の祖先にあたる人物が火の鳥【宇宙編】で犯した罪によって『顔は永久に醜く、子孫まで罪の刻印が刻まれる』という大迷惑な罪を背負う被害者だったりもします。
でも、未来でもやっぱりこの我王の生まれ変わりは苦労しているケースが多かったりもします。
人はどこから来て何処に向かうのか…?
何のために生きているのか?
とか、そんな壮大なテーマです。
価格:968円 |
この鳳凰編に関しては取り分け、アニメが良く出来ているのでまだ一回も見た事無いよ!って人はアニメ版とか見てみると興味が出てくるんじゃ無いかな…って思います。