映画

LION/ライオン〜25年目のただいま【感動必至の嘘みたいな実話】

「この円の中に生まれると人生イージーモード」みたいな画像を見たことがあって…結局は円の中心部分には東京都が来てるワケなんだけど、確かに生まれた国、場所、によって人生ってスタート地点から大きく環境が違うのは事実何だよなぁ…と感じているエヂです⎛´・ω・`⎞

この映画「LION/ライオン〜25年目のただいま」の主人公サルーは極貧の環境の中で生まれ、運悪く迷子になってしまうんだけど、それはもう日本でいう「迷子」のスケールでは無く、何と25年間も迷子になってしまうんだ…

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あらすじ

大学の授業での自己紹介でのサルーは多くを語らない

オーストラリアはメルボルンの大学でホテル経営を学ぶサルー(デーヴ・パテール)は授業前のディスカッションで自己紹介をしていた

「出身は、インドで…生まれ故郷は…養子に出されたから…覚えてないんだ」

やがて、大学でホテル経営を学びながらルーシー(ルーニー・マーラ)という恋人も出来、全てが順風満帆に見えていたサルーの日常は、友人達が開いてくれたパーティーの中で見つけたインドの焼き菓子ジェレビを見た時に変わった…

それは彼が腹を空かせた子供の頃にどうしても食べてみたかったものであり、あの貧しかった暮らし、優しかった母、仲の良かった兄、可愛がっていた妹の姿を一瞬でサルーの心に呼び戻したのだ

やがて、サルーは心配するパーティーの仲間達に自信の生い立ちを語りだす…

インドのスラム街で暮らしていた事、兄の仕事に一緒に着いて行った先で迷子になり、以来一度も家に帰る事もなく、施設で暮らしていたところを今のタスマニアの養父母に引き取って貰い、今の何不自由の無い生活の中にいる事

覚えていたのは自身の名前「サルー」と、生まれ故郷の名前「ガネストレイ」という事だけだった事…

「Google Earthなら地球上の何処へでも行くことが出来る」という友人の言葉に触発されたサルーは、おぼろげな記憶と「Google Earth」を頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる…

迷った距離1万キロ

それは膨大な時間と距離だった…

映画のキャッチフレーズは「迷った距離1万キロ、探した時間25年、道案内はGoogle Earth. 【失われた人生探しの先に、彼が目にしたものとはー?】」

アメリカでは80万人、中国で20万人…この数字は1年間に子供が行方不明になる人数らしいんだけど、行方不明になる理由は迷子、家出もあるけど、誘拐や人身売買などといった犯罪が絡んでいる事も往々にしてあるという…

因みに日本は5000人と、流石に少ないながらも、されど年間5000人もの子供が行方不明になっているというのが現実であり、そしてこういう事実に目を向ける機会になり得るのが、こういうノンフィクション映画なんだ

インドでは年間8万人の子供が行方不明になるらしいんだけど、サルーもその1人

1986年、カンドワというインド中西部の田舎町で暮らしていた彼の一家は母子家庭

サルーの母は4人の子供を育てながら砕石場で昼夜問わず働く生活を送っていたが、それだけでは暮らしていけず、兄グドゥが母親には内緒で列車から石炭を盗んだりして何とか暮らしていた

5歳のサルーは貧しくも幸せに暮らしていた

そんな兄グドゥの事が好きで堪らないサルーは、ある日兄に「自分にも手伝いが出来る!」と我儘を言って、夜の仕事に連れて行ってもらうサルーだったが、現場で兄の予想通り眠気に負けて眠りこける失態を犯す…

そしてそんなサルーをベンチに残し「ここに居ろよ!」と告げ、兄グドゥは暗闇に消えて行く…

やがて目を覚ましたサルーは兄がいない事を悟り、兄を探して辺りをウロウロする間に貨物列車に乗り込み、そこで寝てしまう…

走り続ける電車の音で目が覚めたサルーは、誰も居ない回送列車の中で叫び声を上げ、泣きながら「お兄ちゃん助けて!」と叫ぶのだが、列車には客はおろか乗員も乗っておらず、結局回送列車は途中駅で停車することも無く、数日間走り続けた後に、北東部の大都市カルカッタに到着する…

この距離、直線距離にして何と1400キロもの移動…

更に国土が広大な国あるあるなんだろうけど、言葉も通じなかった

サルーが暮らすカンドワの街はヒンドゥー語であり、カルカッタはベンガル語…つまりサルーは全くの異世界に来てしまった事になる…

ある意味、ラッキーだったサルー

サルーは過酷な環境下に落ちながらも、最終的にはメルボルンで暮らす心優しき義父母と出会い、最終的にはホテル経営学を学ぶという自分のやりたい道を選べる位置にまで付けたんだけど、映画を最後までみると実にラッキーが重なっているのが良く分かる

サルーのケースは実はラッキー

一歩間違えれば人身売買や臓器売買等に落ちていてもおかしく無いし、そのままホームレスとなって死んでいたかもしれない

事実は小説よりも奇なりというけれど、本当にサルーはある意味ではラッキーだったのかもしれない

主人公はサルーであり、俳優さんの名前はデーヴ・パテールが一番に来るんだけど、子役時代を演じたサニー・パワールの目力、キュートさというのは、この映画の中で凄く輝いていて、彼無しではこの作品はあり得ないと思える

心優しき養父母を演じたのがニコール・キッドマンとデビッド・ウェナムなんだけど、作中彼らが「子供を作る事が出来るのに、敢えて養子を迎え入れている」という事が語られており、それは「子供を産んだからって幸せになれるの?不運な子供達を助ける方が意義がある」という言葉で、彼らがサルーを迎えた真意が分かる

最終的にサルーは彼がおぼろげに覚えていた村の名前「ガネストレイ」が、実は「ガネッシュ・タライ」である事を知ります

そして最後の最後に、彼はサルーという彼の名前も5歳の彼が間違って覚えていたものであり、本当の名前は「シェルゥ」ヒンドゥー語で「ライオン」を意味する言葉だった事が語られます

大学のディスカッションで最初、多くを語らなかったサルー…彼は、恋人ルーシーとの満ち足りた日々を送る中で、未だ自分を探しているかもしれない母と兄の事…そして、自身の中でいつしか自身のルーツに蓋をして生きてきた事を後悔し、「迷子になったままでは自分が次に行けない」と考えるようになるんです…

素晴らしい…是非、最後まで見て欲しい映画です( ˘ω˘

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