息を呑むアクションも、凄いスタントも、現実と身間違うばかりのCGも無い時代に、ストーリーと雰囲気と役者の気迫で観るものを釘付けにする…これこそ古い映画の醍醐味だと思うエヂです⎛´・ω・`⎞
何を隠そうアタシのフェイバリットムービーこそ「The Goodfather」であり、「今までで1番面白かった映画は何ですか?」と問われれば、アタシはシリーズの中でもこの「The Godfather PART II」を挙げる
因みにこの「The Godfather」は続きもので、オリジナルのPART I、続きのIIとマイケルの死までを描いたIIIがあり、構想としては更に続きもあったようだけど、マイケル・コルレオーネ亡き後の「The Godfather」なんて、リックの居ない「The Walking Dead」みたいなもんなので、IIIまでで良かったと思う
そして続きもの故に、PART Iを観ていないとPART IIは話が繋がらない点が多く、完全に楽しむ事が出来ないので、これから「The Godfather」を楽しむ人はオリジナルであるPART Iから観る事をオススメする
あらすじ
時は1958年…
父ヴィトーの跡目を継いだマイケル・コルレオーネがニューヨーク五大ファミリーのドンたちを暗殺する事で、裏社会で強力な権力を得た後の話…
マイケル率いるコルレオーネファミリーの拠点であるネバダはタホ湖湖岸にある邸宅で、息子アンソニーの初聖体式を祝うパーティーが開かれ、沢山の幹部達が祝いに駆けつけていた
そしてその中には組織の古参幹部クレメンザが亡くなった後に、彼のニューヨークの縄張りを継承したフランク・ペンタンジェリもおり、同じくクレメンザからその縄張りの一部を譲り受けたと主張するロサト兄弟と対立している…と、その解決をマイケルに頼む
しかし、マイケルの見たてではロサト兄弟の背後にはユダヤ系マフィアの大物ハイマン・ロスがおり、事を荒立てたくないマイケルはフランクに今は我慢するように言う
その晩、マイケルは妻のケイと共に自宅の寝室で就寝中のところを、窓の外から激しい銃撃を受ける…
何とか窮地を逃れたマイケルはこの銃撃の犯人は自分に比較的近い人間が関わっている…と読み、家族の事を義理の兄であり、組織の顧問弁護士であるトム・ヘイゲンに任せて、ハイマン・ロスの居るマイアミに向かう…
2つの話が同時進行する
この映画は2つの話が同時並行で進行する…という、今見ても珍しいアプローチが採用されており、そしてそれらが最後、完全に繋がって更にPART IIの前身であるPART Iと、このPART IIの両方に繋がる…という…つまりPART Iの前日譚とPART IIを同時並行で見せる…という意欲的な作風が取られている
1901年…物語はPART Iの前日譚であるヴィト・コルレオーネがイタリアはシチリアにあるコルレオーネ村で、土地のマフィアであるドン・チッチオに父アントニオ・アンドリーニと母と兄を殺され、アメリカ行きの移民船に乗って故郷シチリアを離れるところから始まる
やがてヴィトが難民ヴィト・コルレオーネとしてアメリカに着いてエリスアイランドの収容施設でアメリカの空を眺めるシーンで、舞台は1958年のマイケルの息子アンソニーの初聖体式を祝うパーティーの場面へと切り替わっていく…
父ヴィトーからコルレオーネ・ファミリーという犯罪組織を継承し、家族を守るために組織の敵を冷酷に排除していく中で、やがて守ろうとしている家族からも恐れられ、孤独になりながらもコルレオーネ・ファミリーを守るために強くなっていくマイケルの姿とマイケルの父、ヴィト・コルレオーネがイタリアで父と母を殺されてからアメリカに移民として移り住み、ケチな泥棒家業から知恵と度胸で土地のボスであるファヌーチを倒し、やがてイタリアからオリーブオイルを輸入販売する会社、「ジェンコ貿易会社」を立ち上げ、コルレオーネファミリーの礎を築くまでが対比のように交差しながら描かれるんだけど、ヴィトの前日譚はPART Iには含まれていなかったものであり、どちらのパートも全て新しい物語だったりする
ヴィトの方はエネルギーに溢れ、暴力的なんだけどヴィトはヒーローのように見えるし、皆んなの事を大切にしながら組織を大きくしていく様子から、父の仇であるファヌーチ暗殺まで、暗い話でもポジティブな旧世界的価値観の中で描かれるのに対してマイケルのパートは暗く、恐怖に満ちた演出で進行するのはマイケルの時代の価値観がヴィトの時代とは違うからなんだ
マイケルのパートは「マイケルの苦悩」が描かれており、父ヴィトのように皆を導こうと強くあらねば…と、自分をマイケル・コルレオーネにすればする程に周りの人間が離れていき、最終的には兄弟にまで手をかけなければならないようになる苦悩が描かれる
また、この撮影技法は後に様々な作品に影響を与えていると思うんだけど、アタシ的には手塚治虫先生の「火の鳥 太陽編」がまさにこの「The Godfather PART II」手法を使っていると思うんだ
素晴らしい役者陣営
主役であるマイケル・コルレオーネを演じるは前作同様、アル・パチーノなんだけど、前作の青い感じが消えて、とにかく眼光鋭く、目が笑わないので何をする場面でも何を考えているのか見えない感じが凄く、PART IIで時に寡黙に…時に爆発的に怒りながら演じるマイケルの中にPART Iの好青年はもう何処にも居ないのだ…
若き日のヴィト・コルレオーネを演じるロバート・デ・ニーロは何と当時まだ無名であり、PART Iのソニー役のオーディションに来たデ・ニーロの演技力を覚えていたフランシス・フォード・コッポラ監督によりヴィトに抜擢されたらしいんだけど、個人的に面白いなぁ…と思ったのは、コッポラ監督がデ・ニーロを起用する決定打となったのが、デ・ニーロが未だにコンビを組む監督、マーティン・スコセッシの作品「ミーン・ストリート」を観て…って点だったりして、デ・ニーロの運命の出会いはマーティン・スコセッシ監督と出会った事なんですね
因みにマーティン・スコセッシのロバート・デ・ニーロコンビと言えば、色々な作品がありますが、個人的にはやはりギャング映画の「Goodfellas」が大好きだったりします
キャストは他にもマイケルの義兄トム・ヘイゲン役にロバート・デュバル、マイケルの妻ケイ・アダムス・コルレオーネ役にダイアン・キートン、マイケルの妹役コニー・コルレオーネ役にタリア・シャイア(ロッキーのエイドリアンです!)と何も名優揃いで、見てて安定感しか無いんだけど、唯一面白いなぁ…と思ったのが、パット・ギャリー上院議員のスキャンダルの場面でトムが上院議員を宥める時に死んでいる筈の女性のお腹が明らかに呼吸で揺れている場面がある事…wコッポラ監督もスルーしたのかな…w何て1人でニンマリしてしまいました
因みにロバート・デ・ニーロは本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞しており、ここから彼の華々しい役者人生が始まったと言っても過言では無い
また、同作は他にもアカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、作曲賞、美術賞を受賞していたりして、まぁ…華々しい結果ですよね
哀愁漂うニーノ・ロータの音楽
音楽は前作と同じくニーノ・ロータが担当しているんだけど、非常に美しく哀愁に満ちたものになっており、マイケルの苦悩、ヴィトの活力溢れる時代双方にマッチして映画全体の雰囲気を底上げしている様はもう凄い…の一言である
映画を知らない人でもあの「The Godfather」のテーマは知ってるでしょ?って思える程にあまりにも有名なんだけど、PART IIはアレンジが凄く見事で、マイケルの苦悩と哀愁を強烈に印象付ける役割を果たしている
ニーノ・ロータはイタリアの作曲家であり、「The Goodfather」以外にも「太陽がいっぱい」や「ロミオとジュリエット」等で映画音楽を担当しているんだけどやはり一番の出世作はこの「The Goodfather」みたい
そういえばPART IIIはサントラ買ったなぁ…( ˘ω˘
PART I を超えたPART II
「PART IIはPART Iを超える事が出来ない」っていうのは良く言われる話なんだけど、アタシ的には唯一この「The Godfather PART II」はオリジナルのPART Iを凌駕した作品だと思うんだ
PART Iは凄く素晴らしい作品なんだけど、個人的には既にドンの立場から始まるヴィト・コルレオーネのお話よりも、苦悩を交えながらドンになろうとするマイケルの話の方が親近感を感じるのだ
加えて、月並みでは無い上記の撮影手法を採用した事は非常に大きく…つまり幼少期〜青年期のヴィトの前日譚と苦悩するマイケルの現実世界を行き来する様子と、その中で起こる裏切りと許しと、報復…という物語が気が緩む場面も無いまま、ニーノ・ロータの音楽に乗って、進行する様子…この感動は未だに、この映画以上のものに出会った事が無いんだ
そんなワケで「The Godfather PART II」は個人的に、PART IはPART IIを越えられないセオリーを破った映画だと思っています
めっちゃオススメ